集塵機の防音化は、防音室の快適性と作業効率を向上させるために不可欠な要素です。本記事では、集塵機の騒音問題とその解決策について詳しく解説し、より効果的な防音対策を提案します。
みなさんこんにちは、ぱぱさくです。前回までに防音室の製作についてご紹介させていただきました。これで実際に防音室の使用が可能になり、騒音を気にせず、DIYを楽しむことができそうです。
ただ、防音室でのDIYには必需品があります。
集塵機です。
防音室は密室になりますので粉塵や木屑を回収するための集塵機が必要です。また、集塵機を工具に接続することで粉塵を発生を抑えて作業することが可能になりますので、集塵機は必ず備えたほうが良いでしょう。
とういうことで私もRyobiの集塵機(VC-1100)を設置しました。
はじめに:防音室の集塵機の重要性
防音室を快適に使用するためには、音の遮断だけでなく、室内の空気環境を良好に保つことも非常に重要です。その中でも、集塵機はDIY作業に伴う粉塵や汚れを除去し、清潔な空気を維持する役割を担っています。
しかしながら、集塵機は稼働時に大きな騒音を発生させることが多く、その音が防音室の静粛性を損なう原因となる場合があります。特に、長時間の使用や高性能な集塵機を導入している場合、その騒音は無視できない問題となります。
そのため、集塵機の防音化は、防音室の快適性と作業効率を向上させるために不可欠な要素です。本記事では、集塵機の騒音問題とその解決策について詳しく解説し、より効果的な防音対策を提案します。
防音室内集塵機の問題点
狭い防音室に集塵機を設置したのは良いのですが、問題点が2つあります。
- 集塵機自体の騒音
- 集塵機から排出される排気熱
集塵機の騒音の問題
集塵機自体の騒音は「DIY騒音問題」でも紹介しましたが、そこそこの騒音が出ます。騒音計でも約90dBであり、まあまあウルサイです。狭い防音室なら尚更です。しかも比較的高い音が出ますので、長時間の使用は頭がキンキンになりますので何らかの対策が必要です。
DIY騒音問題については下記にて詳しくご紹介しておりますのでご一読下さいませ。
【DIY作業中の騒音対策ガイド】静かに作業を進めるための効果的な方法まとめ
また、電動工具自体も騒音が出ますのでそれらの相乗効果で、たまったもんじゃありません。
集塵機の排気熱の問題
問題の二つ目が排気熱です。騒音よりもどちらかというとこちらの方が大問題です。使ってみてわかったのですが、集塵機をほんの数分使用しただけで防音室内の温度が2~3℃あがります。
換気扇を回していても換気扇の排気能力にも限度があり、集塵機の排気熱処理には追いつきません。夏場の作業はかなりしんどくなることが予想されます。
これはもう、集塵機の防音化兼排気システムを構築するしかありませんよね。
では、集塵機の防音化兼排気システムの施工を見ていきましょう~。
集塵機の防音化に必要な基本知識
音の伝わり方と防音の原理
音は空気の振動として伝わり、壁や床、天井などの構造物を通じて外部に伝播します。防音対策を行うには、まず音の伝わり方を理解することが重要です。音の伝達は、主に以下の3つの経路を通じて行われます。
1. 空気伝播:空気中を伝わる音波。
2. 固体伝播:壁や床、天井などの構造物を通じて伝わる振動。
3. 結合伝播:空気と構造物の結合部分を通じて伝わる音。
防音の基本原理は、これらの伝播経路を遮断または減衰させることにあります。具体的には、
1.吸音材や遮音材を用いて音のエネルギーを吸収・反射させる、
2.振動を抑えるための防振対策を施す、
3.そして構造物の密閉性を高める
ことが効果的です。
集塵機の騒音源の特定
集塵機の騒音源を正確に特定することは、防音化の第一歩です。主な騒音源は以下の通りです。
1. モーターやファンの回転音:集塵機の動作に伴う最も大きな騒音源です。
2. 空気の流れによる風切り音:吸気や排気時に発生します。
3. 振動伝播:モーターやファンの振動が構造体を通じて伝わる音です。
4.機械的な摩擦音や共振:ベアリングやギアの摩擦、構造物の共振も騒音の原因となります。
集塵機の防音対策の具体的な案
集塵機の騒音を効果的に抑えるためには、さまざまな防音対策を組み合わせて実施することが重要です。以下に代表的な方法を紹介します。
なお、私の場合は『1.防音ケース・カバーの導入』、『 3. 吸音材・遮音材の活用」の組み合わせで対策しました。
1. 防音ケース・カバーの導入
集塵機全体を囲む防音ケースやカバーを設置することで、音の漏れを大幅に減少させることができます。これらのケースは吸音材や遮音材を内蔵し、音の反射や伝播を抑える設計になっています。設置の際は、通気や排気のための適切な換気口も確保し、過熱や排気の滞留を防ぐことが重要です。
2. 防振マウントの設置
集塵機の振動や騒音を低減するために、防振マウントやゴム製の振動吸収材を設置します。これにより、振動が構造体や床に伝わるのを防ぎ、振動由来の騒音を抑制します。特に、モーターやファンの取り付け部分に効果的です。
3. 吸音材・遮音材の活用
集塵機の内部や周囲に吸音材や遮音材を配置することで、音の反射や拡散を抑え、騒音レベルを低減します。
吸音材は、音を吸収して反響を防ぐ役割を果たし、遮音材は音の伝播を遮断します。これらの素材は、防音ケースの内側やダクトの内側に貼り付けると効果的です。
4.排気ダクトの工夫による防音対策
排気ダクトは集塵機の騒音伝播において重要な役割を果たしており、適切な設計と工夫を施すことで騒音の低減に大きく寄与します。以下に、排気ダクトの防音に効果的な具体的な工夫を紹介します。
1. ダクトの長さと形状の最適化
ダクトの長さを適切に調整し、急激な曲がりや狭い部分を避けることで、空気の流れによる風切り音や共振を抑制します。長いダクトや緩やかなカーブは、音の伝播を減少させる効果があります。
2. ダクト内に吸音材を設置
ダクト内部に吸音材(例えば、フォームや繊維状の吸音材)を貼り付けることで、空気の振動や風切り音を吸収し、騒音を低減します。吸音材は耐熱性や耐久性のある素材を選ぶことが重要です。
3. ダクトの断熱・遮音カバーの設置
ダクトの外側に遮音カバーや断熱材を巻きつけることで、音の漏れを防ぎ、外部への騒音伝播を抑えます。特に、ダクトの接続部分や弯曲部には遮音シートを貼ると効果的です。
4. 排気口の位置と方向の工夫
排気口を建物の静かな場所や高所に設置し、風の流れをコントロールすることで、騒音の拡散を抑えます。また、排気口に防音バッフルや消音器を取り付けることも有効です。
防音化及び排気ダクトの材料
- アルミダクト(75mmφ、140cm)
- 吸音材(unxell、50cm×100cm) 1000円程度
- ダクトアタッチメント(75mmφ)
- OSB合板
- 遮音材(ダイケン)
- キャスター(4輪、ダイソー)
吸音材と遮音材は防音室を製作した際に余った端材になります。OSB合板はホームセンターにて予めカットしてもらっています。
集塵機排気ダクト、防音化材料
集塵機ボックス本体の製作
OSB合板のカット作業
先ずは骨格となるOSB合板を組み立てていきますが、排気ダクトの穴と集塵ホースの穴、集塵機の電源入り切りスイッチの穴を加工する必要があります。排気ダクトとホースの穴は円形ですのでホールソーの50mmと75mmで加工します。
スイッチは四角形でも大丈夫ですのでジグソーで加工します。
OSB合板加工1スイッチホールの加工
ホールソーの作業は表側から一回で穴を開けると裏側にササクレが出ますので、8割程度穴を開けてから、反対側の裏側から加工すると綺麗にできます☆
OSB合板の加工2集塵ホース穴の加工
遮音材の設置
OSB合板を箱型に加工したら、箱の遮音性能を向上させるためにOSB合板に遮音材を設置します。この工程は、防音室の製作と同じですね。
OSB合板への遮音材の設置
吸音材の設置
OSB合板に遮音材を設置したら、その上に吸音材を更に設置します。防音室で吸音材はにニードルフェルトとダイケンの吸音ウールを使用していましたが、ニードルフェルトは集塵機と接触すると粉塵が出ますし、吸音ウールは嵩高くなりますので防音室のサイレンサーに使用したunxellのポリウレタン製の波型吸音材を設置しました。
OSB合板への吸音材の設置
OSB合板の組み立
OSB合板に吸音材を設置したらこれを箱型に組み立てていきます。箱の上面は集塵機を入れるための蓋になりますので丁番を設置して開け閉めできるようにします。
集塵機ボックス本体の組み立
本体を組み立てたら、スイッチの蓋と排気ダクトのアダプター、取っ手、キャスターを取り付けて、本体は完成です。
集塵機ボックスの完成
防音壁の排気ダクト施工
集塵機を防音室内に設置しますので、排気は排気ダクトを通して防音室外に逃がす必要があります。このため防音壁に排気ダクトを通す加工を行います。
防音室を設計する段階で集塵機の排気ダクトを設計していれば、計画的に防音壁の加工もできたのですが、後から加工するのは結構大変です。。。
防音壁の中に遮音材、吸音材が詰まっていますのでこれらを避けて排気ダクトを通さなければいけませんよね。
防音壁の排気ダクト口
防音壁の排気ダクト設置
防音壁外側への排気ダクト
排気ダクトと集塵機ボックスの接続
排気ダクトが完成したら、排気ダクトと集塵機ボックス本体を接続します、完成です。OSB合板がちょっとアメリカンな感じですね。
集塵機排気システムの完成
集塵機排気ダクトの防音性能、排気性能
排気ダクトが完成しましたので実際の性能を検証してみました。
防音性能
先ずは防音性能ですね。防音性は騒音アプリを使って計測してみました。排気システム無しの状態では83dBでしたが、排気システムの中に集塵機をセットしますと69dBまで遮音できました。
集塵機の騒音レベル計測
騒音レベルは10dBの差で音の大きさが2倍になりますので14dB減少しますと3分の1近くに遮音していることになりますので、遮音性能としてはまあまではないでしょうか(高い自己評価~)。
集塵機排気システムを使用した際の騒音
排気性能
今回の排気ダクトの構築は集塵機を使用した際の防音室内の温度上昇の抑制です。実際に使用した感じでは20分程度連続使用した程度では防音室内の温度上昇はなく、快適です。
集塵機防音、排気熱対策のまとめ
さて、今回は防音室内の温度上昇と防音を目的に集塵機用の排気システムの構築しました。構造は至ってシンプル。集塵機を入れるためのボックスを作製し、排気ダクトを接続するだけです。
防音性能や温度変化を確認した感じでは十分な性能が得られていましたので、今回のシステム程度でも排気温度問題や騒音問題は解決できそうですね。
同じような課題を持っているDIYお父さんがおられましたら、是非ご参考にいただければと思います。
なお、集塵機を設置した防音室の自作方法の概要については下記コンテンツにて紹介しておりますので、防音室の設計や材料など詳しい情報を知りたい方はご参照くださいませ。
【防音室自作!完全攻略】|費用・材料・施工ステップを詳しく解説!その3~設計編~
最後までご試読ありがとうございました。
コメント